【購買データから作る企画】顧客の”価値観”を軸に商品のストーリーを届ける施策とは

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株式会社永谷園

(左)マーケティング本部 商品開発戦略部 マーチャンダイザー・磯部秀行 氏、(中央)マーケティング本部 商品開発戦略部 マーチャンダイザー・福田聖衣 氏、(右)商品販売戦略部 コミュニケーション課 課長代理・鈴木あゆみ 氏

株式会社永谷園(以下、同社)は、2022年9月に手間や時間をかけて、今よりもっと充実した生活を送る”ていねいな暮らし”に憧れる20~40代女性を中心に感度の高い生活者を想定顧客層とした新シリーズ「だしごこち」を発売しました。

同社では、CCCMKホールディングス(以下、CCCMKHD)をパートナーとして、約7,000万人のT会員のデータを活用し、想定顧客層のニーズを深堀り。その分析結果を基に、プロモーション全体のプランニングを行いました。本記事では、商品販売戦略部コミュニケーション課課長代理の鈴木あゆみ氏、そしてマーケティング本部商品開発戦略部マーチャンダイザーの磯部秀行氏、福田聖衣氏にCCCMKHDをパートナーとして選択した理由や施策の成果について伺いました。
目的 「だしごこち」の発売にあたり、想定顧客層である"ていねいな暮らし"に憧れる生活者に商品について認知いただき、商品の世界観やストーリーに共感してもらうこと
施策 Tカードのデータを活用し、想定顧客層のニーズを深堀り。その分析結果を基に、コンセプト設計からプロモーションプランの企画を行い、各施策の実施・運営、クリエイティブ制作までトータルサポート
効果 リアル・デジタル問わず、さまざまな施策で想定顧客層にアプローチし、「だしごこち」の認知拡大に寄与。CCCMKHD一社をパートナーとしてトータルプロモーションを行うことで、一貫した世界感でのプロモーションを実現
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(左)商品販売戦略部 コミュニケーション課 課長代理・鈴木あゆみ氏
(中央)マーケティング本部 商品開発戦略部 マーチャンダイザー・福田聖衣氏
(右)マーケティング本部 商品開発戦略部 マーチャンダイザー・磯部秀行氏

”価値観”を軸とした想定顧客層に商品の世界観やストーリーをどのように届けるか

同社の従来商品は、「ファミリー向け」「年配の方向け」など、属性を軸にした明確な想定顧客層が多かったそうですが、「だしごこち」の想定顧客層は"ていねいな暮らし”という価値観を軸に設計。これまでにはなかった、”価値観”を軸にした「だしごこち」の開発の狙いについて、福田氏は次のように説明しました。

「コロナ禍になって『新しい生活様式』が広がり、改めて自身の生活に向き合う時間が増えた中で、より"自然でいいもの" や"体に優しいもの"を生活に取り入れたいと、生活者の意識が変化していきました。とは言え、それを実現するためには、時間やお金など、さまざまな面で余裕が必要で、現実的には難しいこともあります。そこで、弊社の商品で、こうした“ていねいな暮らし”に対する"理想と現実のギャップ"を少しでも埋めることはできないかと考えました」

従来とは異なる、“価値観”を軸とした新シリーズの展開において、想定顧客層へどのようにアプローチし、認知拡大を図るか、それが同社の課題でした。

『だしごこち』では、最初のコンタクトとして、商品の持つ世界観やストーリーに共感してもらうことが重要だと考えました。そのため、想定顧客層とのタッチポイントを、既存のお取引先である小売店さま以外にもご相談できないか、幅広く検討しました。」(福田氏)

そこで、福田氏は以前施策を実施したことのある、CCCMKHDへ相談することにしました。
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データ分析によって裏付けられた想定顧客層

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「以前、別商品で実施したサンプリングが効果的だったことがきっかけではありますが、それ以上に蔦屋書店のお客さまと『だしごこち』の想定顧客層には共通点が多い印象があったことも検討した理由の一つです。蔦屋書店のお客さまは、情報感度も高く、日々の暮らしを大切にしている方が多い印象があり、『だしごこち』の想定顧客層にぴったりだと思い、ご相談させていただきました。」

ところが、CCCMKHDからの提案は想像以上だった、と福田氏は明かします。

「お願いした店頭プロモーションだけでなく、CCCMKHDさんが保有されているT会員のデータを活用した分析や、その結果から、ブランドサイトやリーフレットなどでの展開も含めた『だしごこち』の戦略的なトータルプロモーションプランをご提案いただいたのです。」

提案の中で、特に印象的だったのは、「データに基づいた顧客分析」と「キーメッセージ」の2点であったと同社は話します。

「『だし』を軸に、既存のお茶づけやふりかけについてT会員の購買・行動データを分析した想定顧客層のインサイト分析の結果をご共有いただいたのですが、結果として、私たちの想定とほぼ同様の想定顧客層が浮かんできたのです。
具体的には、想定顧客層は、「商品名に”有機”や”無添加”などを含む商品」の購買傾向が高いことや「素材に気を遣いつつ、生活の中で一息つける商品や、素朴な味・やさしい味を好む」といった傾向が見えてきました。
"ていねいな暮らし”を心掛ける生活者に関して、データの裏付けまでできていた訳ではなかったので、自分たちに不足していた情報をデータにより補強いただき、心強く感じました
さらに購買行動だけでなく、そこから読み取れる生活者心理まで反映し、説得力のあるご提案をいただきました」(福田氏)

また、同社が提案の中で注目した「キーメッセージ」について、鈴木氏は次のように語りました。
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「提案いただいた『いいだし、ほっと、いいここち。』というメッセージは、商品を通してお客さまに感じていただきたい思いが端的に表現されており、『だしごこち』という商品を深く理解されているという印象を受けました。このような表現は私たちだけでは考えつくことができないと感じました
その上でデータ分析に基づいたトータルプロモーションを設計されている。このような点を鑑みて、今回トータルプロモーション実施のパートナーをお願いすることにさせていただきました」

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今までにない手法で世界観を表現

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まず、オフラインの施策では、蔦屋書店での店頭プロモーションとインフルエンサーを招いたイベントを実施しました。
店頭展開は二子玉川蔦屋家電と枚方蔦屋書店の2店舗で実施。二子玉川蔦屋家電では壁面を活用して、『だしごこち』のほか、書籍などを活用し、「だしごこち」の世界観を演出。さらに、商品そのものの特徴を知ってもらうために、お茶づけのだしを瓶につめて香りを確かめられる仕掛けや試飲なども実施。イメージだけでは伝わりづらい部分を補う施策も取り入れました。
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「このような店頭施策はお客さまに通り過ぎられてしまうことも多いのですが、蔦屋家電のお客さまと『だしごこち』の親和性の高さや展開方法の工夫により、実際に手にとって香りをかいだり、試飲をされたりする方が多く、好評でした。なかには、試飲されて値段は確認されないままお買い求めになった方もいらっしゃるなど、お客さまへの直接的なアプローチならではの効果が見られました」(鈴木氏)

また、二子玉川蔦屋家電のイベントスペースでは、「丁寧に生きる」をモットーにしているモデルの高山都さんを招いてトークショーを開催しました。

「イベントの中で、参加者全員に、商品を配布し、実際に味わっていただいたのですが、事後のアンケートでは、とても良い反応でした」(福田氏)
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一方、オンラインでの施策ではブランドサイトを制作。サイト内では、商品紹介のほかに「だしごこち」の世界観に合ったインフルエンサーによる「ほっとする時間」や「毎日をここちよく暮らすための工夫や習慣」に関するコラムを掲載し、想定顧客層への訴求を図りました。
ブランドサイトはこちら

さらに、今回は、ブランドムービーの制作も行いました。

CCCMKHDが制作したクリエイティブについて、磯部氏はこう語りました。

「『だしごごち』の世界観を想定顧客へ伝えるためには、ライフスタイルのイメージを視覚的に表現することが一番わかりやすいと考えていました。起用していただいたモデル、言葉選び、光の入り方、小道具等すべてが「だしごこち」のストーリーとして一貫性があったと考えています。 」
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トータルプロモーションで生まれた一体感

CCCMKHDをパートナーとして展開した今回のプロモーションについて、鈴木氏はこう述べました。

「総合的なプロモーションを実施することで、リアル・デジタル施策、そしてクリエイティブまで、すべてを通して世界観がブレることなく商品の魅力を一貫して伝えることができました。それぞれを別々に進めると、どうしても一体感に欠けてしまいますが、そのようなことは一切なく、素晴らしい施策を実施できたと感じています」

また、思わぬ効果もあったとして、磯部氏は次のように明かしました。

今回の施策を知った小売業のバイヤーさまから『なぜ蔦屋書店でプロモーションをしたのか』など問い合わせがあり、『話を聞きたい』と弊社まで足を運んでいただきました。さらに、今後の取り組みについてもご提案をさせていただく機会となりました。これはまさに今回の施策の効果だと思います」

生活者に寄り添う、新しい取り組みをこれからも一緒に

同社としても新しいチャレンジだった今回の施策ですが、今後CCCMKHDとどのような取り組みを進めてみたいと考えているのでしょうか。

「CCCMKHDさんは、ずっと生活者を対象にした取り組みを進めてこられて、リアルの場で得られた知見とTカードによるデータを豊富にお持ちです。そのようなCCCMKHDさんと共に、私たちが普段お取引させていただいている卸さまや小売業さまとも協業で、生活者へご提案する施策を考えていきたいです。」

こう語る磯部氏に続き、鈴木氏は次のように述べました。

「食品関連のプロモーションはスーパーマーケットなどでの展開を連想しがちですが、書店という異業種との取り組みによって、新たなプロモーション施策の可能性を感じることができました。マーケターとしても参考になりましたし、これからもCCCMKHDさんと新しい取り組みができたらと考えています 」
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