定性×定量データの最強調査で生活者のリアルを把握する

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SHIBUYA109 lab.

(右)所長 長田麻衣 氏、(左)主任研究員 保坂沙織 氏

SHIBUYA109  lab.」(以下、109lab.)は、株式会社SHIBUYA109エンタテイメントが運営する、若者調査に特化したマーケティング研究機関です。若者の購買行動や価値観を探るため、毎月約200人のaround20(15歳から24歳までの男女)に直接インタビューやアンケートを実施。数値からは見えにくい"生の声"を収集し、SHIBUYA109はもちろん、若者向けに事業を展開する企業のマーケティング支援を行っています。

今回、109lab.は、CCCマーケティング(以下、CCCMK)と共に、各エリアに生息する女子大学生の生態比較調査(東京版・大阪版)や、若者の間に広がるヲタ活の実態調査という3つの共同調査レポートを公開しました。

そこでこの取り組みについて、実施内容を振り返りつつ、両社の持つデータの強みを今後どのように活かすことができるか、109lab.所長の長田麻衣氏、主任研究員の保坂沙織氏、そしてCCCMK アライアンス営業部 戦略提携ユニットマネージャーの栗田あかねとファッションコンサルティングユニット データアナリストの大山翔平の4人が語りました。

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(写真左より、保坂氏、長田氏、栗田、大山)
効果 定性データと定量データが、それぞれの弱みを補完し、新しいデータ活用の可能性が開けた
施策 SHIBUYA109 lab.とCCCマーケティングで共同調査を実施し、SHIBUYA109 lab.の定性データとCCCマーケティングの定量データで仮説を検証し、その内容をレポートとして発表
目的 定性データと定量データをかけ合わせることで、データ活用の可能性を広げる

始まりは「データで面白いことをやろう!」

栗田(CCCMK)「最初に109lab.さまとお会いしたのは、去年の5月。そこでいろいろとお話をさせていただく中で、7,000万人のT会員の規模感や、購買データなどのいわゆるビッグデータについてご紹介したところ、とても興味を持っていただいて『その定量データと私たち(109lab.)が持っている定性データをかけ合わせたら、何か面白いことができるんじゃないか』というお話をいただきました。それがこのプロジェクトの始まりでした」

長田(109lab.)「そのあと何回かディスカッションを重ねて『まずはテーマを決めて両社で調査をして、その結果をリリースしよう』ということになり……。実は、109lab.としては、自分たちの認知拡大も目的にありました。当時、109lab.は設立後1年ほど。ひと月に1本のペースで若者に関する調査リリースを出していて、そこから案件の受注につながることもありました。その一環として、話題性の見込めるリリースを出すことで、マーケティングコンサルの会社として、認知を高めることができるのではと考えたんです」

栗田(CCCMK)「認知拡大という点では、私たちも同様です。せっかくビッグデータを保有しているのだから、その価値を上手に世の中に伝えていきたいですよね。若者に強い109lab.さまとコラボすることで、そういうところが出せたらと思いました」

東京エリアの女子大生の実態調査からスタート

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長田(109lab.)「それで始動した最初のプロジェクトが、"渋谷、原宿、新宿、池袋"という20代が多く集まるエリアごとで、女子大生の違いを比較してみようというものでした」

保坂(109lab.)「私たちは毎月200人のペースで直接若者と話をしたり、アンケートを取ったりしているので、4つのエリアについても『この街が好きな女子大生はこんな感じだろうな』という仮説は持っていたんですよね。それで、その仮説をもとにCCCMKさんと一緒に調査設計をして、CCCMKさんに定量的な調査と分析をしていただいて……。」

大山「はい。ファッションやライフスタイルの傾向を調べるためのリサーチと、購買データの分析という、2本立てです。ターゲット層にリサーチをかけるのと並行して、購買データを見ていきました」

長田(109lab.)「そして、その結果をお持ちいただいて、私たちが持っている定性データと合わせて『若者はこうかもしれない』といった考察をみんなで話をして……。」

大山「考察には時間がかかりましたよね。データを見て、これをどのように解釈するかというすり合わせの部分で、認識に齟齬があるわけにいきませんから」

保坂(109lab.)「結果を見て、両方のデータに一致している部分が非常に多く、まさに仮説がはまった印象がありました。私たちが立てる仮説は、ヒアリング結果を分析したものなので、わかりやすいイメージは提示できるんですが、客観的に根拠を示すことが難しいんです。でもこういう調査や分析によって仮説が数値で裏付けされ、私たちの活動で得たデータ間違っていなかったことが確認できて、自信になりました

栗田(CCCMK)「東京の4エリア(渋谷・原宿・新宿・池袋)ごと、そこにいる女の子たちが違うというのは感覚的にわかっていたものの、それをちゃんと数値で言語化できたことがよかったと思います。あと109lab.さんが提案されたイラストも、イメージをつかみやすくするのに効果的でした」

長田(109lab.)「そうそう! 考察を重ねるうちに、『あ、こんなに違うんだ』ということが見えてきて。だったら、イラストにしようという話になりましたね」

保坂(109lab.)「イラストをつくる過程でも、CCCMKさんがお持ちの購買データが生きてきましたね。例えば池袋エリアの説明であれば、池袋が好きな子が買っているものがわかるので、そういったものをイラストに反映することで、エリアごとの特徴をしっかり伝えることができたと思います」
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長田(109lab.)「私たちは数多くの若者と接する中で、いろいろなパターンの若者を知っているので、彼女たちのリアルをお伝えするのは得意なのですが、その裏付けとなるような購買データは持っていないので、良い棲み分けができたと思います」

栗田(CCCMK)「確かに。逆に、私たちが持っている購買データは客観的に事実を示しているものではあるんですが、やはり数字なので『具体的にどういう子なの?』といわれると『こんな子です』と示すのは知見がある範囲でしかできないんですよね。そういった意味で、数字の背景にあるものを可視化できたという点は大きいです」

詳しくはこちら
SHIBUYA109 lab. × CCCマーケティング共同調査「渋谷・原宿・新宿・池袋」各エリア生息女子大生の生態比較

SHIBUYA109 lab. × CCCマーケティング共同調査 第二弾 大阪キタ・ミナミ―各エリアに生息する女子大学生の生態比較

大阪エリア、ヲタ活の実態も調査

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栗田(CCCMK)「そして、第2弾の大阪エリアの調査、切り口をエリアからライフスタイルへと変えた第3弾の"ヲタ活の実態調査"と続けたわけですが、大阪でも、やはり"定量“と”定性”を掛け合わせたからこそ見えてきたことがいろいろありましたね」

長田(109lab.)「大阪の若者エリアといえばキタとミナミ。キタは大人っぽい雰囲気の子が多く、ミナミは元気な地元っ子が多いという仮説を立てて両社で調査を進めていって、いざ検討してみると、仮説の通りでした」
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大山(CCCMK)「大阪でも、われわれの分析結果は、109lab.さんの定性データを裏付けることができました。データ活用に東西は関係ないですね(笑)」

栗田(CCCMK)「大阪といえば、これは定量データを見ているだけではわからないという、象徴的なことがありましたよね」

長田(109lab.)「もしかしたら、"菓子パ”ですか?」

栗田(CCCMK)「そう、"菓子パ”(笑)」
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大山(CCCMK)「大阪の女子大生に大容量パックの菓子がたくさん売れているというデータがあったので『これなんだろう?』となって……」

長田(109lab.)「そうそう、それで大阪でのグループインタビューでお菓子のことを聞いてみたら、『それ、菓子パじゃないですか?』って、すごく普通な感じで答えられて。こちらとしては『……カシパ? なにそれ?』(笑)」

保坂(109lab.)「みんなで大容量のお菓子を持ち寄ってパーティーをすることを略して"菓子パ”というんですよね。その習慣も言葉も、今回の調査で初めて知りました。ちょっと感動しました(笑)」

栗田(CCCMK)「これはまさに、数字だけ見ていては絶対にわからないことですよね。定性データと定量データを合わせて見ることの大切さを、改めて感じました

栗田(CCCMK)「第1弾、第2弾とやっていくなかで、頻繁に出てきたキーワードが"ヲタ活"でしたね。私たちにはあまり馴染みのない言葉だったので『いまの若者はそんなにヲタ活をするんだ』と驚いたんですが、109lab.さんからすると、とてもナチュラルな言葉なんですよね」

長田(109lab.)「15歳から24歳までの男女のことをaround20と呼んでいるのですが、私たちの調査結果では、その全体のうち約7割がヲタを自認していることがわかっています。大人から見ると"オタク"にはネガティブなイメージがあることが多いですが、若者はそうではなくて、むしろヲタであることがアイデンティティというくらいの気持ちですね」

栗田(CCCMK)「そこで、若者向けのマーケティングを展開するうえでは、ヲタ活の調査は外せないなと思って始めたのが第3弾の"ヲタ活の実態調査”でした」

大山(CCCMK)「これには、TSUTAYAのエンタメに関するデータが非常に有効でしたね。ジャニーズ関連商品を大量に購入している人を"ジャニヲタ"、同様にLDH関連のものを買っている人を"LDHヲタ"というように分類してライフスタイルを追ってみると、それぞれのヲタで購買傾向の違いが顕著で、これは意外な驚きでした」
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長田(109lab.)「実際に会って話を聞くと、ヲタカテゴリが違うと、ヲタ活の中で重要視するポイントも違っていたりします。またヲタ活に対するマインドにも差があるんですよね」

栗田(CCCMK)「リリースでは、その違いをしっかりとイラストで表現することができてよかったです」

詳しくはこちら
SHIBUYA109 lab. × CCCマーケティング共同調査第3弾! around20女子の"ヲタ活"生態比較

2社の強みを活かした取り組みを進めたい

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長田(109lab.)「最初話していたときには、一緒に調査して結果をリリースで公開できればいいかなくらいに考えていたのが、実際にやってみたら想像以上に反響がありましたね。調査をもとにしたセミナーには60人以上のお客さまに来ていただいたり、ヲタ活の調査結果を新聞に取り上げてもらったところ、SNSで議論が盛り上がっていたり(笑)」

栗田(CCCMK)「今回の取り組みを通じて感じたことですが、CCCマーケティングの強みは、顧客データ・購買データという、ライフスタイルが補足できる定量データを保有していることです。ただ、数字だけを見ていてもわからないことがあり、定量データと定性データをかけ合わせることで、数値では伝わりにくいことがよりわかりやすくなるということを実感しています」

長田(109lab.)「若者は買い物をするときにクレジットカードを使わないので、私たちは店舗で顧客データや購買データを収集することが難しいんです。そこで、SHIBUYA109の集客力と知名度と活かし定性データを中心に収集していますが、どうしても定量的な数字で表す根拠の部分が弱くなってしまいます。今回CCCMKさんとご一緒して、定量データの重要性を改めて感じました。」

大山(CCCMK)「手前味噌で恐縮ですが、今回の一番の成果は、定性データと定量データをかけ合わせると、どのような成果があるのかを可視化するプロジェクトを公開できたこと、そしてそれについて、大きな反響をいただけたことかなと思います。データの可能性を広げるためには何が必要なのか、多くの人に知っていただく機会になったのではないでしょうか」

保坂(109lab.)「私もそう思います。企業さまから『データはあるのだけど、これをどう使ったらいいのかわからない』というご相談をよくいただくんですが、今回のプロジェクトで、データ活用の一つの方向性をお見せできたと思います」

長田(109lab.)「今回の経験を活かして、これから、企業さんのマーケティングや商品開発などでご一緒させていただけたらうれしいですね」

栗田(CCCMK)「メーカーさんの商品調査などもやりたいですよね。CCCMKの場合、購買データがID単位で紐付いているので、他商品との購入者層の比較などは出せるんですが、購入理由まではわかりません。そこは109lab.さんの力をお借りして、若者の実際の行動などを載せたりすることもできるので、そういう取り組みをしたいなと思っています」

長田(109lab.)「こういう共同調査をやらせてもらって、ひとまず世の中への発信という最初のステップは達成できました。今後はより、いろいろな会社に注目されるような成果につなげていきたいですね」
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