【生活者の声を読み解くシリーズ】スキル・趣味・教養などの学びの最前線(前編)
こんにちは、CCCマーケティングの営業担当です。
コロナの影響で学びの意識が変化してきました。企業においてもリカレント教育のため、Edtech(エドテック)などオンライン教育ツールを活用した社会人の学び直しを考える企業も出てきています。
そこで今回は、コロナ禍におけるスキル・趣味・教養など人々の「学びの意識」について読み解きました。
コロナの影響でどのような変化があったのか、CCCマーケティングが持つデータや、生活者の意識調査からわかったことを前後編でご紹介します。
目次[非表示]
- 1.「学び」に関する生活者の意識調査
- 1.1.コロナ禍の学び・習い事ランキング
- 1.2.今後検討したい学び・習い事ランキング
- 1.3.過去3年のうちに学び・習い事をやめた理由
- 1.4.学び・習い事を決める(継続する)理由
- 2.コロナ禍前後の雑誌・書籍の購買データを分析
- 2.1.雑誌の購買データ分析
- 2.2.書籍の購買データ分析
- 3.データからわかる学びに熱心な生活者の特徴
- 3.1.基本属性・ライフスタイル・顧客DNAをチェック
- 3.2.学びに熱心な人の併買傾向
- 3.3.学びに熱心な20代男性の特徴
- 4.データからわかる学びにあまり熱心でない生活者の特徴
- 5.定量データで見えた学びの今
「学び」に関する生活者の意識調査
CCCマーケティング株式会社が2020年に設立したCCCマーケティング総合研究所では、“生活者に一番近い存在のシンクタンク”として多くの取り組みを行っており、例えば、社会や生活様式の変化、生活者の行動や意識の変化、世代や地域の特性把握、産業動向レポートの発信などをしています。
今回は、CCCマーケティング総合研究所が行った生活者意識調査結果を引用しながら、大人の学び・習い事に関する生活者の意識について分析します。
学び・習い事に関するランキングや、学び・習い事をやめた理由、決める(継続する)理由についても詳しく分析を行いました。
※表示端末によって画像が見えづらい場合がございます。詳細は資料をダウンロードの上ご確認ください。
コロナ禍の学び・習い事ランキング
2019年4月からの1年と2020年4月以降の学び・習い事の実施内容をみてみます。
結果は、ゴルフ、テニスなどのスポーツ、フィットネス・筋トレ、ヨガ・ピラティスなどの体を動かすものが上位を占めました。
2020年4月以降のランキング上位の習い事の受講形式については、対面式が圧倒的に多い結果となりました。ゴルフやテニスなどのスポーツが84.1%、フィットネス・筋トレが79.2%、ヨガ・ピラティスが80.7%です。一方、2020年4月以降のランキングでは上位に入っている英語・英会話はオンラインや通信講座の割合も高くなっています。
今後検討したい学び・習い事ランキング
今後検討・いつかはやろうと思っている学び・習い事のランキングは、特徴的な結果となりました。
「2019年4月以降に学んだ経験あり」の割合との差を見てみると「英語・英会話」が9.0pt、「料理・食べ物・飲み物」が7.6ptと大きな差があり、学びたいと考えているものと、実際に学んだものとではギャップがあることわかりました。
また、ビジネスキャリアアップ講座、IT系、語学、写真・ビデオなど「座学の習い事」が多くランクインしている点も着目ポイントです。
過去3年のうちに学び・習い事をやめた理由
過去3年のうちに学び・習い事をやめてしまった方に対し、理由を尋ねました。
最も多かった理由が「時間が取れなくなったから」で、全体の4割を超えています。ほかにも「新型コロナウイルス感染症が心配だから」「金銭的余裕がなくなった」などの理由が多くあげられています。
学び・習い事を決める(継続する)理由
「今後学び・習い事の教室/スクールを決める(継続する)際に決め手となること」についても調査しました。
結果は「料金が安い(51.6%)」「料金に見合った成果を得られる(45.5%)」と、料金を重視している方が多いことがわかります。
また「スケジュールなど続けやすいシステムになっている(43.9%)」「気軽に始められ、気軽に辞められる(39.5%)」と答える方の割合も高いです。
この結果をみると、学びを開始継続するポイントは『時間×成果×気軽さ』だと推測できます。もちろん、以前から興味を持っていたかどうかも重要です。オンラインで気軽に始められる体制を整えたり、成果を可視化できるシステムを作ったりするなど、デジタルによる発展が重要だといえます。
コロナ禍前後の雑誌・書籍の購買データを分析
CCCマーケティングでは「ID-POS分析」を行っています。ID-POS分析は、膨大なTカードの情報を用いて行う消費者購買行動の分析です。実購買・行動データを基に、課題に適した多様な切り口での分析だけでなく、レポーティングまで行うことができます。
このID-POS分析による雑誌・書籍の購買データから、どのようなジャンルがコロナ禍前後で伸長しているか読み解きます。また「学びに熱心な人がどのような人か?」から学びの今を深掘りしました。
雑誌の購買データ分析
雑誌のコロナ禍での伸長ジャンルについてみていきます。コロナ初期には、基本料理や手芸に関する雑誌が伸長していました。同様に、ランニングや陶芸・骨董、海外旅行誌などもコロナ初期に伸長しましたが、現在は失速しているジャンルです。
一方、コロナ禍での伸長ジャンルといえるのが、各国料理、アートフラワー(押し花)、花づくり、家庭医学一般、婦人服などの、実用性よりも趣味性の高いジャンルです。また、アプリケーションなど、新たなスキルを学ぶといったジャンルも伸長ジャンルといえます。
書籍の購買データ分析
書籍については、雑誌同様に個人の趣味性が高いものとIT関連のものが伸長傾向でした。例えば、BL・ラノベ、パチスロ、ミュージシャン写真集、科学哲学・思想、国内文学などが挙げられます。21年になるにつれて、実践的なものや嗜好的なものの出現が増えています。
データからわかる学びに熱心な生活者の特徴
雑誌・書籍の購買データ分析で、学びに熱心な生活者とT会員全体の基本属性、ライフスタイル、顧客DNAを分析しました。
(※期間21年1月~6月の「語学・ビジネス・資格就職・パソコン」の雑誌・書籍購買者)
基本属性・ライフスタイル・顧客DNAをチェック
購買ジャンルの特性もあり、いくつかの特徴が見えてきました。
まず、属性については、男性だと20代、女性は45~49歳の構成比が高いです。
ライフスタイルは自分に使える時間、所得が高い傾向が見て取れました。
顧客DNAは、仕事は有給使い切りタイプ、遊びはサブスク派(にも関わらず書籍・雑誌も購買)の特徴があります。そのため、自分のための時間を重視する層であると予想できます。
学びに熱心な人の併買傾向
学びに熱心な人の併買傾向を「食品」「書籍」「雑誌」の3つのランキングから見てみました。
食品ランキングについては、健康食品やプロテインなど、生活意識が高い傾向が見られます。これは、日用品でも同様の傾向が見られました。
書籍ランキングでは、実践重視のスキル、ネタなどの人間的な幅としての教養をともに重視している方が多いようです。
最後に雑誌ランキングでは、ビジネスや仕事に活用できる雑誌が高い傾向が見られました。
学びに熱心な20代男性の特徴
先述したように、特にHigh(5点以上購入)とT会員全体の比較で構成比が高かったのが、20代男性です。20代男性にはどのような特徴が見られたのか深掘りしていきます。
雑誌についてみてみると、総合ビジネス、語学、投資と実践的な雑誌がランクインしていました。中でも身体と心のケアに関する書籍が特徴的といえそうです。
近年はサブスク型が増えています。そんな中、わざわざ書籍を購買する層でも特徴的な20代男性は、自分自身の日常や仕事、心、身体に対してプラスになるようなモノ、コトを積極的に取り入れるマインドを持っていると読み解くことができました。
データからわかる学びにあまり熱心でない生活者の特徴
続いて学びに対してあまり熱心ではない生活者の基本属性・ライフスタイル・顧客DNAについてです。書籍雑誌1・2点しか読まない方と、学びに熱心な人を比較して分析しました。
(※期間21年1月~6月の「語学・ビジネス・資格就職・パソコン」の雑誌・書籍購買者)
基本属性・ライフスタイル・顧客DNAをチェック
こちらも購買ジャンルの特性があり、いくつか特徴が見えてきます。
まず、属性について見てみると、40代女性の構成比が多いです。
ライフスタイルについては家族持ちの方が多くいました。そのため、自分のために使える時間に課題があることも書籍雑誌を読む点数が少ないことと関係していそうです。一方で美容に対して高い興味を持っていることもわかります。
顧客DNAについては、値引き商品好き、自炊派など、コスパ重視の傾向が強いです。
学びにあまり熱心でない人の併買傾向
学びにあまり熱心でない人の併買傾向を「食品」「書籍」「雑誌」の3つのランキングから見てみました。
食品ランキングについては、自炊やお弁当向けの加工食品が上位です。このことからファミリー層が多いのではないかと予想できます。これは、日用品についても同様でした。
書籍ランキングは、介護に関する書籍が上位にある傾向が強いです。
雑誌ランキングを見てみると、韓国語やアイドルなど、わざわざ購買する書籍については趣味性の高いものが多いと推測できます。
分析結果で構成比の高い「40代女性」の特徴
先述したように、購入点数Low(1・2点購入)と、High(5点以上購入)の比較で構成比が高かったのは、40代の女性です。40代女性が選ぶ雑種を見てみると、多様なエンタメ系のジャンルがランクインしていました。
また、書籍についても同様で、ジャニーズ、児童書、ラノベと多様なジャンルがランクインしています。
サブスクで本を読む方が増える中、たまに書籍を購買する層で特徴的な40代女性は、趣味に特化したものを選んでいるようです。アーティスト、アイドル、ラノベなどの書籍が多く見られました。
定量データで見えた学びの今
今回は、前編としてスキル・趣味・教養などの学びの最前線について読み解いてきました。
オンラインのサブスクやYouTube、Web検索などで気軽に多くのこと学べるようになった今だからこそ、習い事や本の購買の視点から「学びの今」を読み解きました。
生活者の意識調査の結果、今後「料理・楽器・ビジネスキャリアアップ講座・IT系・語学・写真ビデオ」関連の習い事に挑戦したい方が多いことがわかりました。また、習い事を継続する・新たに始めるうえで「時間×成果×気軽さ」を重要なポイントとして考えている方が多いようです。
書籍・雑誌の購買データについては、コロナ禍が進む中、20・21年度共に伸長しているジャンルは、より趣味性が高いものやIT関連のスキルが伸長傾向にあります。中でもよく書籍を購入する層代表といえる20代男性は、自分自身の日常、仕事、心、身体に対してプラスになるモノ、コトを積極的に取り入れるマインドを読み解けました。
一方で、たまに書籍・雑誌を購買する層で特徴的な40代女性は、アーティストやアイドル、ラノベなど自分の趣味に特化したものを購買しているようです。
これらの定量分析から、ライフステージやオケージョン(特別な行事や儀式)によってさまざまなジャンルの学びを選択していることがわかりました。コロナ禍で基礎的なものから、より嗜好性が強い教養、より実践的なスキルに関するジャンルが伸長傾向になっています。
その心理的な要因などを知ることで、これからの学びを考えるヒントになるのではないでしょうか。
後編では、その点を深堀りしていきます。
より詳細な内容については資料をご用意しているので、ぜひダウンロードください。
なお、CCCマーケティングでは、マーケターのみなさまに向けて"生活者の声を届けるパートナー"のサービス提供を始めました。約7,000万のシングルIDによる多様なデータ、分析ツールから読み解いた生活者の声を低額でお届けするサービスです。興味のある企業の皆さまは一度問い合わせください。
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