セグメンテーションのやり方とは?ターゲティングとの違いやマーケティングへの活用事例を紹介
セグメンテーションとは、市場にいる顧客をさまざまな切り口でグループ化することをいいます。その切り口やポイントを押さえておくと、マーケティングに役立てることが可能です。
本記事では、セグメンテーションを用いた市場分析の方法や分類例のほか、活用するために意識すべきポイントを解説します。あわせて、セグメンテーションを活用したマーケティングの成功事例についても見ていきましょう。
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セグメンテーションとは、市場にいる顧客をさまざまな切り口でグループ化すること
セグメンテーション(Segmentation)とは、「分割」という意味を持つ単語です。マーケティングでは、「市場にいる不特定多数の顧客をさまざまな切り口で分類し、グループ(セグメント)を作ること」を指します。市場にいる顧客をグループ化することで、自社の商品・サービスをどのグループに向けて販売・プロモーションするのかを定めること(ターゲティング)が可能です。
近年では消費者ニーズは多様化しており、細かいニーズに合わせて商品を開発・販売することが重要ですが、インターネットやSNSの普及により、購買や属性情報をもとにした細かいセグメンテーションが可能になっています。細分化したセグメントに最適な広告を配信すれば、効果的なマーケティング戦略を実施できるでしょう。
ターゲティング、ポジショニングとの関係
マーケティング戦略を立案するうえで、市場の分析は欠かせません。市場分析の手法のひとつに「STP分析」というものがありますが、「STP」は「セグメンテーション(Segmentation)」「ターゲティング(Targeting)」「ポジショニング(Positioning)」の頭文字を取ったもので、それぞれ下記のような意味を持ちます。
■セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの意味
STP分析では、まずセグメンテーションで属性毎のセグメントを作ったら、ターゲティングで自社が狙うべきセグメントを選定します。ターゲティングでは、自社の強みが発揮できるセグメントを選ぶことが重要です。加えて、ポジショニングによって競合他社の状況を調べながら自社の市場での立ち位置を正しく理解し、狙ったセグメントにアピールするために最も効果的なマーケティング戦略を検討していくのです。
セグメンテーションの分類例
セグメンテーションで、顧客をグループ分けする際の基準を「変数」といいます。セグメンテーションの変数の種類としては、下記の4つが代表的です。
地理的変数
地理的変数(ジオグラフィック変数)とは、地理的な条件でセグメンテーションする際に用いられる変数です。気候や生活習慣、文化などの地理的な要因が大きく関わる、食料品、衣料品、家電製品といった商品・サービスの市場分析でよく利用されます。
例えば、下記のような項目が地理的変数に当たります。
<地理的変数の具体例>
・世界の地域
・国
・日本の地域
・都道府県
・宗教
・文化・生活習慣
・人口規模
・気候
地理的変数がマーケティングや商品開発に影響を与える簡単な例としては、餅のケースがわかりやすいでしょう。餅の形状の地域的な傾向を見てみると、東日本では「角餅」、西日本では「丸餅」が一般的です。つまり、餅の製造業者は、販売地域によってよく食べられている餅の形状が異なることを意識しなければなりません。これが、地理的・文化的な背景によってセグメンテーションを行う事例です。
人口動態変数
人口動態変数(デモグラフィック変数)とは、顧客を年齢・性別・職業といった客観的に把握できる属性で、セグメンテーションするときに用いられる変数です。情報の取得が容易なため、幅広い業種で人口動態変数が採用されています。
人口動態変数に該当するのは、下記のような変数です。
<人口動態変数の具体例>
・年齢
・性別
・職業
・世帯規模(人数)
・世帯所得
・最終学歴
例えば、中学生向けの塾のキャンペーンを実施する場合、「中学生の子供がいる世帯」や「小学校6年生の子供がいる世帯」にチラシを配布します。
心理的変数
顧客の価値観やライフスタイル、パーソナリティといった心理的変数(サイコグラフィック変数)によってセグメンテーションをすることもできます。性別や年齢などの人口動態変数に比べて定性的なため、従来は把握しにくい変数とされていました。しかし、インターネットやSNSの発展により、顧客それぞれの嗜好を把握できるようになってきたため、心理的変数も活用できるようになっています。
主に、下記のような変数が心理的変数に該当します。
<心理的変数の具体例>
・価値観
・ライフスタイル
・パーソナリティ(インドア派、アウトドア派など)
・流行への感度
「インドア派」かつ「20代・女性」のように、心理的変数を人口動態変数と組み合わせて活用すると、細かいセグメンテーションが可能です。
行動変数
顧客の購買行動や商品の使用状況などの行動履歴や、商品に関する知識量といった行動変数(ビヘイビア変数)によってセグメンテーションをすることもできます。
行動変数の具体例としては、下記のような項目が挙げられます。
<行動変数の具体例>
・商品の使用状況(1日1回、週1回、月1回、年1回など)
・購買履歴(未購買、1回購買、リピート購買など)
・商品の知識量(知らない、商品名だけ知っている、よく知っているなど)
例えば、1回購買した顧客に対して、2回目購買時限定のキャンペーンを実施するなど、行動変数に合わせて有益な情報を顧客に提供することで、効果的に売上を伸ばすことが期待できます。場合によっては、キャンペーンをきっかけにリピーターになることもあるかもしれません。
顧客の行動変数は、効果的なマーケティング施策を実施するために重要です。
セグメンテーションで意識すべき4R
セグメンテーションでは、効果的なターゲティングにつなげるために意識しなければならない、4つのポイントがあるといわれています。
4つのポイントを英語にした場合の頭文字がすべて「R」で始まるため、「4R」という総称で呼ばれています。それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
優先順位(Rank)
セグメンテーションによって効果的なマーケティングを実施するためには、グループ分けされた各セグメントを重要度に応じて優先順位をつけることが重要です。
どのセグメントにも同じ力量でプロモーションを行うのではなく、自社の経営戦略に合わせ、優先すべきセグメントからターゲティングすることで高い成果を期待できるでしょう。
規模の有効性(Realistic)
マーケティング施策を検討する際には、セグメントが売上を十分に期待できる市場規模なのかを確認しなければなりません。市場規模が小さいセグメントではどんなに効果的なターゲティングを行っても、売上目標に達しないおそれがあるからです。そのため、高確率で成果を期待できそうなセグメントでも、市場規模が小さい場合にはターゲティング対象から外すことを検討する必要があります。
到達可能性(Reach)
セグメンテーションでは、セグメントに属する顧客にプロモーションや商品・サービスを十分に届けられるかも重要なポイントです。プロモーションをしても顧客に伝わらなければ意味はなく、また顧客にアピールできても、商品・サービスを確実に提供できなければ、売上にならないばかりかクレームにつながるおそれもあります。到達可能性を事前に確認することで、マーケティング戦略で確実に成果を出すことが期待できるでしょう。
測定可能性(Response)
測定可能性とは、セグメントの規模や購買力・特性・反応などをデータとして測定し、分析できるかどうかという観点です。マーケティング施策では実施後に効果測定を行い、「目標を達成できたか」「今後の課題は何か」などを分析することが欠かせません。測定可能性があるセグメントであれば、施策の効果を検証し、次の施策の改善につなげることが可能です。
CCCMKホールディングスのデータ活用事例
CCCMKホールディングスでは、約7,000万人のT会員の購買・行動データを活用してセグメントを作成し、さまざまな手法でダイレクトアプローチが可能です。
事例:不動産購入&販売促進を目的としたメール施策
不動産購入&販売促進を目的としたメール施策です。
T会員の属性データから対象エリアに居住する30歳以上の男女、かつ会員向けアンケートで賃貸/分譲住宅居住者をセグメントし、対象の方に不動産購入や販売に関する情報をメールで届けました。
エリアごとの配信でその特性に応じた告知を行うことで自分ゴトとしてとらえてもらいやすくなり、開封率やCTR向上を行うことができた施策です。
事例:化粧品の新商品購買促進を目的としたサンプリング施策
化粧品の新商品購買促進を目的としたサンプリング施策です。
T会員の属性データから女性30~50歳、購買データから競合商品購買者をセグメントし、新商品の
サンプル品を自宅まで郵送しました。
サンプル品と同時にアンケートチラシも同梱することで新商品の評価や継続利用意向のユーザー像も把握することができた施策です。
このように、属性データや購買データを自由に組み合わせたセグメント設計が可能です。
4Rを意識して、セグメンテーションをマーケティングに活用しよう
セグメンテーションでは、「地理的変数」「人口動態変数」「心理的変数」「行動変数」の4つの変数をうまく活用して、「優先順位」「規模の有効性」「到達可能性」「測定可能性」の4Rに注意しながら、自社のマーケティングに効果的なセグメントを抽出することが重要です。
これまでにセグメンテーションを活用したマーケティングの経験がなく不安な場合や、そもそもセグメンテーションに活用できる顧客データが少ないという場合は、CCCMKホールディングスにお気軽にご相談ください。CCCMKホールディングスでは、全国約7,000万人のT会員のデータを活用して、貴社のマーケティング課題への最適なサポートをご提案します。
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