データドリブン(データ駆動)とは?意味や実践法、成功事例を解説
近年、「データドリブン(データ駆動)」という言葉が、さまざまな場で使われるようになっています。
データドリブンとは、膨大なデータを分析してマーケティング戦略や営業戦略などに役立てることをいいます。
有効な手段の一つですが、導入前には、メリット・デメリットや実施プロセスを把握しておくことが欠かせません。
本記事では、データドリブンが必要になった背景やメリット・デメリット、実施プロセスを解説します。あわせて、データドリブンに必要なツールや成功事例についても見ていきましょう。
目次[非表示]
- 1.データドリブンとは、さまざまなデータを分析して意思決定に活用すること
- 2.データドリブンが必要になった背景
- 2.1.顧客行動の多様化・複雑化
- 2.2.デジタル技術の発展
- 3.データドリブンのメリット
- 3.1.精度と費用対効果が高い施策を実施できる
- 3.2.意思決定の属人化を防げる
- 3.3.ボトルネックを早期に発見・解決できる
- 4.データドリブンのデメリット
- 4.1.高いスキルを持った人材が必要になる
- 4.2.組織全体での取り組みが必要になる
- 4.3.ツール導入などのコストがかかる
- 5.データドリブンを実現するためのプロセス
- 5.1.1. データ収集
- 5.2.2. データの可視化
- 5.3.3. データ分析
- 5.4.4. アクションプランの決定・実行
- 6.データドリブンに必要なツール
- 7.CCCMKホールディングスが支援したデータドリブンの成功事例
- 8.他社からの協力も視野に入れて、データドリブンを導入しよう
データドリブンとは、さまざまなデータを分析して意思決定に活用すること
データドリブン(Data Driven)とは、売上データや顧客データなどを分析して、マーケティング戦略や営業戦略などの意思決定に役立てることです。従来は、勘や経験に頼って意思決定をするケースが多くありました。しかしそれでは、業務が属人化したり、戦略を見誤ったりするケースが出てきました。
データは、社内に蓄積されたものはもちろん、他社の蓄積データを利用することも可能です。いかに自社の意思決定に役立つデータを社内外から収集し、活用できるかが、顧客ニーズが多様化した現代では重要になっています。
データドリブンが必要になった背景
データドリブンの必要性が認識されるようになったのは、企業を取り巻く環境が大きく変化したためです。下記のように、ターゲットとなる顧客の行動と、データを収集するための技術に変革があったことが、多くの企業の意思決定過程にデータ分析を浸透させました。
顧客行動の多様化・複雑化
顧客は従来、テレビや新聞広告、チラシなどで商品を知り、店頭で比較検討して購買商品を決定していました。しかし近年は、リアルとデジタルを行き来して、みずから情報収集して商品を選ぶことが一般的になっています。インターネット上での行動の比重が増えて顧客の行動が複雑化したため、データを分析することが重要になったのです。
デジタル技術の発展
デジタル技術の発展により、検索エンジンやウェブサイト、SNSなどから消費者の膨大なデータが入手できるようになりました。これらのデータは簡単に収集できるため、すでに多くの企業がデータドリブンを採用し、自社が競争優位となるアクションを試みているため、市場での優位性を確立するために重要な取り組みとなっています。
データドリブンのメリット
データドリブンを導入すると、企業には主に下記のような経営上のメリットがあるでしょう。意思決定の精度の向上だけでなく、意思決定のプロセスの課題解決にも役立つという点は、見落としがちですが重要です。
精度と費用対効果が高い施策を実施できる
データドリブンを導入することで、客観的なデータにもとづいた戦略を立案できます。勘や経験に頼った戦略に比べて精度は高くなり、営業やマーケティングが効率的に行えるようになります。データドリブンにはツールや人件費などのコストがかかりますが、それを上回る費用対効果の高い施策を実施することも可能です。
意思決定の属人化を防げる
データドリブン以前の、経験や勘による意思決定は個人の能力に依存する部分が大きいため、他人への継承がうまくできないケースもありました。
データドリブンを導入すると、データをもとに一定のロジックで意思決定することになるので、属人化を防げます。
ボトルネックを早期に発見・解決できる
「生産性が低い」「売上が増加しない」といった経営課題のボトルネックは、特定が難しく発見に時間がかかるケースが多くあります。担当者が直感でボトルネックを見つけられるケースもありますが、それは誰もができるものではありません。
データを分析すると、担当者の目線では見えていなかった事実を把握できるため、ボトルネックの早期発見・解決も可能になります。
データドリブンのデメリット
メリットの多いデータドリブンですが、デメリットもあります。下記の3点を念頭に、自社にどのように導入するかを十分に検討しましょう。
高いスキルを持った人材が必要になる
データドリブンを効率的に実施するには、データ分析スキルを持った人材が欠かせません。データ分析の高いスキルを持った「データサイエンティスト」といったプロの力が必要です。社内で育成することもできますが、外部への依頼も視野に入れて人材を確保することが求められます。
組織全体での取り組みが必要になる
データドリブンを導入するには、社内に眠っている多くのデータを活用するために、組織全体に協力してもらう必要があります。スムーズに協力してもらうには、データドリブン導入の意義を、各部署にしっかりと理解してもらうところから始めなければなりません。
ツール導入などのコストがかかる
データドリブンを導入するには、IT機器・システムといったインフラの整備コストがかかります。データ収集・入力の前提となる社員へのパソコン・スマートフォンの支給や、顧客データの管理ツール導入など、データを蓄積・分析できる体制整備は不可欠です。インフラ整備の初期導入コストもかかり、ツールによっては年額や月額の利用料もかかります。
データドリブンを実現するためのプロセス
データドリブンを実施する際は、4つのプロセスを経て意思決定を行います。それぞれのプロセスで、企業には、下記のような対応や準備が必要です。
1. データ収集
データドリブンの最初のプロセスは、自社に蓄積されたデータの収集です。データは異なるツール・システムに保存されていることもあるため、データを一元管理するDWH(データウェアハウス)といったツールを導入するといいでしょう。
もし起業したばかりなどでデータがない場合には、顧客管理システムなど必要なデータを蓄積できるシステムやツールの導入から始めたり、他社の保有するデータを活用したりすることを検討します。
2. データの可視化
データが収集できたら、客観的に把握できるようデータを可視化します。ただのデータの羅列では分析に時間がかかってしまうため、重要なプロセスです。CDPツールや、BIツール、ウェブ解析ツールなどを利用することで、データを見える化する仕組みが構築できます。これらのツールについて、詳しくは後述します。
3. データ分析
可視化したデータが用意できたら、次の段階は経営課題に応じた分析です。
膨大なデータから効果的な分析結果を導き出すには、データサイエンティストなどの専門家のスキルが欠かせません。あらかじめデータ分析をする人材を確保しておく必要があるでしょう。
4. アクションプランの決定・実行
データ分析の結果からアクションプランを決定し、実行します。組織全体でアクションプランを実行する必要がある場合には、データドリブンの重要性やアクションプランを周知しなければなりません。スムーズに実行するためには、マネジメント層の協力が不可欠です。
データドリブンに必要なツール
データドリブンを採用している企業は、さまざまなツールを利用しています。有益なツールは多くありますが、ここでは代表的なものを5つご紹介します。
MAツール
MA(マーケティングオートメーション)ツールとは、ウェブ上での問い合わせや資料請求などから取得した見込み顧客の情報管理や、見込み顧客とのコミュニケーションを自動化できるツールです。
MAツールを導入すると、自社ウェブサイト・ECサイトへの訪問回数など、ウェブ上で顧客が起こしたアクションを可視化できます。また、メルマガやステップメールも自動配信できるため、顧客の育成も効率化できるでしょう。
CDPツール
CDP(カスタマーデータプラットフォーム)ツールとは、ウェブ上に蓄積された自社に関するデータを管理するプラットフォームのことです。MAツールは問い合わせや資料請求などで会社名や氏名、メールアドレスといった顧客情報を取得して顧客とのコミュニケーションに活用するツールであるのに対し、CDPツールはさまざまなシステムが蓄積していた顧客の行動履歴や属性などの情報を組み合わせて管理・分析するツールです。自社サイトの訪問履歴だけでなくオフラインでの購買履歴などのデータも活用できることから、幅広いマーケティング戦略が立案できます。
ウェブ解析ツール
ウェブ解析ツールは、自社ウェブサイトでのユーザー行動や検索結果の順位などを確認できるようにするツールです。PV(ページビュー)数やUU(ユニークユーザー)数、CTR(クリック率)などのデータを分析することで、マーケティング戦略に役立てます。
CRMツール
CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)ツールは「顧客管理システム」とも呼ばれ、顧客のデータを入力・管理できるツールです。氏名や会社名、役職といった基本情報と、購買履歴やクレームなどの顧客の行動に関する情報を管理できます。顧客情報を社内で共有し、リアルタイムで更新できる点がメリットです。CRMツールの顧客データを分析することで、優良顧客へのアプローチが可能です。
BIツール
BI(ビジネスインテリジェンス)ツールとは、社内に保有するさまざまなデータを一元管理・可視化することで、意思決定に役立てるツールのことです。データをグラフ化する機能やレポート機能、高度な統計分析によってパターンを見つけ出す機能などがあります。さまざまな部門がそれぞれ保有していたデータを一元管理・分析できることから、意思決定のスピードが早くなり、課題の発見や解決にも有効です。
データドリブンにおける代表的なツールを紹介してきましたが、データドリブンの実施には高度なスキルが必要になることから、自社のみで進めるにはハードルが高いというケースも多いでしょう。
そのため、場合によっては、他社からの協力を得てデータドリブンの導入を検討するのもおすすめです。
CCCMKホールディングスが支援したデータドリブンの成功事例
CCCMKホールディングスでは、約7,000万人のT会員のデータを活用してマーケティング戦略や営業活動へ活かすことも可能です。
事例:雑誌メディアの価値を再認識させ、広告主の評価を向上させた調査施策
雑誌メディアは広告主からの評価や安定した出稿が重要ですが、ある雑誌メディアではその価値が広告主に伝わりにくくなっていると感じていました。
そこで約7,000万人のT会員の購買データやライフスタイルアンケートなどを分析し、対象の雑誌とそれ以外の雑誌の購買者層、雑誌未購読者層の相違点を可視化しました。
結果として読者の特性がデータによって検証・確認できたことで媒体価値の再認識につながり、広告主の評価を向上させ、営業活動をスムーズに行うことができるようになりました。
このようにプロモーション施策だけでなく、営業活動のためにデータを活用することも可能です。
事例:商品のストーリーを伝えるトータルプロモーション設計
ある食品の新商品プロモーションを行う際に、従来商品の「ファミリー層」や「年配層」など属性を軸にした想定顧客ではなく、ライフスタイルを軸に設計したいという要望がありました。
CCCMKホールディングスでは単なる属性データや購買データだけでなく、顧客向けのアンケート結果や衣食住をスコアリングしたデータなども活用できるため、ライフスタイルを軸にした想定顧客のインサイトを分析し、商品のキーメッセージ作成からLP作成、店頭でのイベントまで、データをもとに下トータルプロモーション設計を行いました。
このように単発の施策だけでなく、顧客の理解から施策実施、効果検証まで一気通貫の戦略設計を行うことも可能です。
他社からの協力も視野に入れて、データドリブンを導入しよう
データドリブンを成功させるためには、ツールの導入だけでなく、分析スキルを持った人材の確保が欠かせません。社内にデータ分析スキルのある人材がいない場合には、社外の人材に協力を求めることも可能です。
CCCMKホールディングスでは、約7,000万人のT会員のデータをもとにしたプロモーション設計などのサポートを行っておりますので、ぜひご相談ください。
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